読み上げ CV:西原翔吾
再生
流浪軍に向いてる人と向いてない人がいる。
向いているのは本営抜きをできる部隊がきっちり組める人で、レベリングを終えてからやると、ある程度楽しめるだろう。
限られた条件で編成したりするなは人によればかなり楽しめるだろう。
だけど、人には向いてなくても流浪軍をしなければいけない時もある。
わたしの場合もそれだ。
攻撃力が足りず、
レベリングが足りず、
準備も不足したままやることになった。
理由としては、流浪軍になれという仲間の圧力が面倒くさくなって、という極めて後ろむきなもので正直気乗りはしなかった。
この場合、まず飛ばされた先が自分が勝てない相手の本拠地近くだと見つかれば厳しいもので、ハエみたいに叩かれて終わりだ。
わたしの初流浪軍は、勝てない編成の人の分城と本城からかなり近い場所で始まった。
完全に終わったと、はじめての流浪軍で絶望しつつ、他の足場をもらって活動しはじめた記憶がある。
彼からは見えないはずの、わたしの城の近辺に山塞が現れないことを願いながら、
一週間、
二週間と時がすぎる。
本城の主とは流浪軍戦場で遭遇する。
相当流浪軍が嫌いなようだ。
強すぎる相手とは交戦しないように、うっかり殲滅されないようにと気をつけながら、ひそかに同じ場所に帰投する。
三週間。
そろそろ奇妙な愛着を感じてきた。
長いこと共に居るとあなたは知らないけれど、あなたのおはようからおやすみまでわたしは見守っている。
共に同じ戦場に向かい、共に帰投していたりする。
そろそろ、わたしの存在にも気付いて欲しい、そんな気持ちさえ生まれてきたよ。
四週間目。
「飽きた」と言い、流浪軍狩りを止めて、遠くの戦地に全軍で出かけ、新たな戦場で生き生きと戦い始めた彼を見つけた。
一月目の朝。
そっとわたしは彼の分城に手を伸ばした。
やらなくてもいいけど、なんだか振り向かせてみたくて。
じわじわと城区削っていたら、あなたは、全軍で戻ってきてくれたね。
全力で全軍で戻ってきたね。
州チャで
「なんとなく誰か居そうだと思ってたわ!」
と吠えるあなたに、わたしからの返事は
「おはようダーリン、モーニングコールだよ」
弱くても、やり方次第で流浪軍もたまには楽しい。