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大三国志の思い出

マサヤン(大三国志)(@masayaanx)

まだ太陽が登らない時間にスマホのアラームが鳴り響く。映し出された文字は『部隊徴兵完了』。眠気け眼をこすりながら『出兵』『防守』を行い、数十秒後にはまた夢の中へ戻る。これだけで【大三国志中毒】という言葉が事足りるだろう。

 

2年以上も続け、ついには動画配信にまで手を出す理由は単に「面白い」に尽きるのだが、当初は実に不思議で滑稽に思えることがあった。お互い顔も名前も分からない何百人ものプレイヤーが1つの目的・目標に向けて、リアルマネーを投入し、有限な時間の大部分をゲームに割く。正義・忠義・大義などを口にしてチャットで舌戦を繰り広げる。怨恨・遺恨が火種を生む。日常生活における憩いの場所がゲーム世界になっている人も少なくない。『たかがゲーム』から『されどゲーム』に移り変わっており、妙な文化に首を傾げていた俺も気づけばその流れの中にいたのだ。

 

思い出話をするとすれば2季だろう。1区で所属していた同盟は1季に洛陽制覇を成し遂げた。その勢いで2区勢と激突することになるのだが、風の便りでは敵もまた強大なる戦力を保持していると聞いていた。1季での味方が、2季でも味方になるとは限らないのが、なかなかも興味深いところだ。洛陽制覇同盟には戦いの中で様々なプレイヤーが集う。当然、考えも様々で外交戦略や戦術、同盟ルールや方針、幹部の人格などに納得できない人も存在するわけだが、同盟所属における恩恵やシーズン報酬を理由に留まるものもいる。 

 

しかし、シーズンが変われば、同盟の形や勢力図が180度変わることは珍しくないのだ。1区勢も細分化しながらも、それぞれの思惑を持って、2区勢との対決に向けて、手を取り合う約束をしたのだが……。

 

いざ、2季が始まると、2区勢の圧倒的なる大攻勢の前に各戦線、後退し、1区連合体制は瓦解していき、まもなく最大の友好国が降伏する。劣勢になればなるほど人間の素の部分が表れてくる。愚痴や文句も出る。同盟離脱者も出る。命を取られるわけでもないゲームの世界において、負けは恐ろしくアクティブ率を低下させる。いわゆる『絆』がここで試されるのだ。我が同盟が最後まで降伏をせず、闘うことを決意した。俺もまたその意志に従い、まだ戦意の残る仲間と突撃したり、遊撃部隊となり十数部隊で走ったりもした。全同盟陥落をしたときは今でも、よく覚えている。深夜のことだったと思う。酒も少なからず入っていただろう。弱い殲滅部隊を盟主の本城に防守をぶち込んだが、一瞬にして消し飛んだ。陥落した瞬間、泣いていた。悔しかったのか、悲しかったのかはよく覚えていない。

 

しばらくして、俺は大阪にいた。共に戦った仲間と実際に顔を合わせ、酒を飲みながら大三国志について大いに語った。作戦会議もした。その成果があったのか定かではないが、3季はリベンジを果たすことができた。今では全国のプレイヤーと会って、杯を交わしている。至福の時間だ。人生を変えてくれた大三国志。最後まで共に走り続ける所存である。