背中を追いかけて。
時は、三国時代。
数え切れぬ者達が天下を狙う騒乱期。
ここに新たな君主が生まれた。
目を開けると、見たこともない華やかに装飾されたベッドに私は横たわっていた。周りには、高そうな壺、龍の彫刻……。
「ここは一体……どこ?……。」
複数人の足音が聞こえてきた。
「君主殿、お加減はいかがでございますか?」
顎から白い髭を生やしたいかにも偉そうな時代劇に現れる爺さんが現れた。
頭を深々と下げ、私を敬っている。
「問題ない。我は、外の空気が吸いたい。」
私は君主気取りで顎に手を当てえらそうに言ってみた。
「わかりました。」
爺さんは何やら指示を出し、私はあっという間に召使い達によって着替えが済まされ、城壁の上へと案内された。
城壁の上から辺りを見渡した。
そこには……
一面に広がる大草原、
太陽を反射し煌めき流れる川、
活気に溢れる村村……。
壮大な世界に吸い込まれる感覚は
乱世が私を呼んでいるようにも思えた。
同時に……
私が一国の君主になってしまったことを察したのだ。
「君主様!君主様!」
爺さんが必死に私を呼びかけている。
「部隊を作らないとなりませんし、施設の整備もやらねばなりません。いつ隣国から攻められるか分かりません。一刻を争います。」
爺さんは跪き、私に訴えてきていた。
私はまず、部隊を立て近場の土地へと侵略したのだ。未開の土地であるため、簡単に手に入った。
次に、民主達の税収から訓練所や城壁強化をした。事務作業のような仕事せいで私は頭が混乱した。さらに、文官達を困らせ寝不足にさせたのだった。
しばらくして……。
君主生活には慣れてきた。
最近は賊までも容易に討伐し、部隊も増やせるまでになってきた。兵士達の士気も高い。
「君主様、そろそろ我々も同盟に入りましょう。」
私は迷った。
このまま一匹狼でこの乱世を生きるのも良いと思っていたからである。
仲間など、必要ないだろうと。
しかし、誰もが同盟加入を強く勧めて来るので承諾せざるを得なかった。
この州一の大同盟に私の国は入ったが……
私は何をするべきかわからず、右往左往していた。
このままではいけない。
私は勇気を出して、声をかけた。
その方の部隊は精鋭部隊。資源が豊富な土地を多く占領してきた歴戦の猛者であった。
「あの……。私は何をすればいいでしょうか?」
一国の君主とは思えない低姿勢で尋ねた。
「まずは、要塞を建てるんだ。」
先輩君主は、以外にも優しく教えてくれた。
それからも、部隊編成、戦法も丁寧に指導していたたぎ私の国はメキメキと国力をあげっていた。
そんなある日、近くの敵国の城を攻めることに決めた。
気合十分で全部隊に出撃の激を飛ばした。
数え切れる程の兵達は大地を激震させ、歩を進める。
私はその光景を目に焼き付け、胸の奥底から震えいていた。兵達の轟に。
しばらくすると、戦の報告が来た。
敗北。
全身に寒気が差し込み、私は硬直した。
こんな結果、予想していなかった。
見込みが甘すぎた。
私は自惚れていたのだ……。
全身に力が抜け、思考が全く回らない。
「敵軍が我が城に迫ってます。」
敵国からの報復が休む間を与えずやってきた。
勝てるはずはない……。
どうすれば……。
手汗が噴水のように吹き出す。
同盟から連絡が来ていた。
「貴方が攻撃したのはライバル同盟の盟主です。これまでやってきた作戦が全て水の泡になってしまいます。」
安易過ぎた。下調べもなしで攻撃なんて馬鹿にも程がある。
取り返しのつかないことしてしまったのだ。
「安心しろ。今から話を付けてくる。」
あの歴戦の猛者君主からの通達だった。
この助け舟のお陰で、敵国同盟の盟主は兵を引き、同盟も我が城も無事だった。
全て丸く収まったのだった。
当然、私は同盟の幹部の方々から叱られ、何とか脱退は間逃れた。
あれからどのくらいたったのだろうか?
新しい部隊を編成しながら、あの失敗を思い出していた。
新シーズンに入り、以前の同盟を抜け、新しい同盟に加入した。
あの救世主が盟主である。
私はあの事件以来、先輩君主の背中を見つめている。
まだ一同盟員に過ぎない私だがいつかは、
先輩の右腕になりたい。
意気揚々と、部隊に命令を出す。
兵達は壮絶な大地へと踏み出した。"