読み上げ CV:西原翔吾
再生
春は別れの季節といいますが、大三国志的には、季の終わりが別れの季節。
勝敗が決する頃、皆それぞれ次を考える。
なんとなく姿を消したり、
ごっそり隊ごと別の同盟にだとか、
また他からのスカウトで去ることも。
今ではシーズン1から同じ同盟だったひとは、もう誰もいない。
わたしにも、四六時中ゲームにいて、何かとキツイ場面でも共に戦場にかじりついていた仲間がいました。
穏やかで熱く、勤勉な人で、面倒くさいマラソンも、戦争中の朝も一緒でした。
ずっと一緒だったから特別な仲間だと思っていたけど、唐突に、もうこのシーズンでゲームをやめることにします、と宣言されて。
まぁ、なんとなく、そうだと思ってました。
リアルな、体調的な事情だと知っていました。
どうして、と言う人もいましたが、私はサッパリと、じゃあね、ってだけ言ったのですが。
またね、とは言えませんでした。
じゃあね、
どこの誰かはわからないけど、リアルでどこかですれ違ってるかもしれないね、
じゃあね、
別のゲームならできるかな、その時はもしかしたらまた一緒に遊べるかな、
じゃあね、
なーんて、納得しないから、次もガチャだけ回して一緒にいこうよ!
考えたものの、相手の状況を推し量れば何にも言えなくて、ただ、じゃあね、だけを言って皆さんの別れの言葉が並ぶチャットを閉じたら。
その人から手紙が届き、
「本当に寂しいです」
って書いてありました。
別れの分だけ出会いがあります。
それはリアルと同じで。
なんとなく離れてもう出会うこともないひともいれば、べつに特に好きでも嫌いでもなくとも同じとこにたどりつくこともあり、
長い時間を超えて敵として再会することもあるし、
あれから二度と会えない人もいる。
だからこそ、仲間がいるのは楽しい。
新しいシーズンには、期待に満ちているから、別れより出会いのほうがやはり良いね。
それでも、たまにはずっと一緒なら楽しいと思った仲間を思い出す。
新季がはじまり、
まさかと思ってもただの同名で。
手紙を出すと、
違います、と言われる事もあったし。
まぁそんな事はもうないだろうと、忘れて遊んでいた時に、君の名前をまた見つけた。
話してみれば、やっぱり別人。
何度も繰り返してるうちに忘れていって。
戦場で同じ名前を見かけても、
もう君の名前は君じゃない、そう思って。
そろそろ声をかけるのを止めたけども。
幾つかのシーズンを超えた時、
乱戦の中で、突然知らない名前から手紙がきた。
「戻って来ちゃいました」
なーんだ、やっぱりゲームばっかしてバカだなぁって思いながら、戦場で近くを走る赤いラインを目で追っかける。
聞きたいことは結構あるけれど、元気ならいいよ。
仲間じゃなくなってもいいや、
運があればまた会うでしょう。
また、どこかで!
じゃあね!