読み上げ CV:西原翔吾

再生

『軍師殿、誕生する』

ちひろ 2021-01-25

初めまして、郭嘉と申します。

初心者ですがよろしくお願いしますm(_ _)m

ようやく同盟への加入申請が受け入れられた私は、新しいサーバーを始める度に繰り返してきたお決まりの挨拶をする。

もちろん、大嘘もいいとこである。

第一季のみとはいえ、何度も繰り返してきた私だ。

この涼州において、城の名前を聞けばその場所やレベルが浮かぶし、効率の良い主城移転地すら既に決めてある。

手に入る武将も戦法もさほど多くないため、部隊の上手い組み合わせも研究済みだ。

なにより、初心者と言っておけば経験者が優しくしてくれるし、少し知ったげなことを口にすれば、こぞって感心してくれる。

このプランは、ここから「ひょっとしてどこかでやってました?」からの、「幹部お願いできませんか」までがセットである。

フフフ、黒い。

我ながら黒すぎるぞ、私。

だが、それがいい。

プラン通り、無事に幹部へと成り上がった私は、その中で最も楽が出来て、かつ敬われるポジションを模索していた。

辿り着いたのは、部隊相談ルームの主である。

今まで、ひと通り幹部をやってきたが、盟主をはじめ副盟主、指揮官といった上位4役は本当に大変な役割である。

場合によっては、まともにレベリングすらままならず、酷い時は現実生活にまで支障をきたす。

ゲームとはリアルあってこそだ。

決してそれが逆転することなどあってはならないのである。

次に外交官。

これもいけない。

一時期、外交を担当したことがあったが、星5獲得のテロップが流れる度に話したことも無いプレイヤーにお祝いの手紙を送り、そうして徐々に顔を売ることで認知度を高めていくといった手法を取っていた。

もうホントに自分の時間とか無い。

そんなアホなやり方を考え実行したのは自分であるからして、自業自得ではあるものの、しかしその効果は絶大で、課金するお金はないけど時間は有り余っている人には是非オススメである。

ただし、私はもうこりごりだ。

あまり同盟方針に口を出しすぎるのもいけない。

何かある毎に意見を求められ、周りの同盟の裏の裏を読んでアドバイスしたり、自同盟が強くなるための方策を考えなくてはならなくなる。

そして当然、「じゃあ、それやって頂けますか」となるわけだ。

まさに墓穴を掘る行為である。

その点、相談部屋の主は良い。

ある程度の知識があれば、第一季における部隊編成など大抵が紋切り型であり、通好みに少しだけオリジナルのアクセントを加えてあげればよいのだ。

その度に感謝され、時間の都合のつく時だけ、それなりにアドバイスをしてあげれば、ほら、もう何でも知ってるベテランプレイヤーの出来上がりである。

それだけで同盟に貢献していると認識してもらえる。

程々に頼られて、程々に感謝される。

自分の時間も待てて、リアルに支障が出ることもない。

嗚呼、素晴らしき哉、相談部屋主。

戦争に疲れた私の癒しは、正にここにあったのだ。

アドバイスをした部隊が上手くいったと報告が上がると、まるで自分の事のように嬉しい。

今日も今日とて、私はみんなの部隊指南をしては軍師殿、などと呼ばれ、私なりの楽しい時間を過ごすのであった。

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