読み上げ CV:西原翔吾
再生
この大三国志と言うゲームでは、自分の行動、遊び方によって様々な物語が生まれる。
私は戦争などせず、のんびり自分の部隊を極めたい。僕は、大規模同盟に入って天下を取りたい。俺は、大規模同盟を自分自身が導きたい。
同盟の数だけ、様々な道があると言っても良いだろう。そしてその道を作るのが自分でも良いのだ。
そのゲームにまた1人、大三国志のゲーム情報を何も持たないまま、この世界に降り立ったのであった。
その名は【うんも】
「何だこれ? めっちゃフィールド広いじゃん」
うんもがこの大地に降りたって初めて思った思考は、何とも間抜けな物だった。
「それにしても、所属州を涼州にしたけど大丈夫か? 涼って漢字なんかいいじゃん? 」
涼州を選んだ動機もあれだが、それはそれで、うんもが選んだ道。最後まで涼州で楽しむかはうんもの自由だ。
その後、チュートリアルである程度のゲーム知識を付け、自由時間となった。
「さて、チュートリアルも終わって自由になった訳だが、これからどうするかな? とりあえずチャットでも覗いてみるか」
そうしてうんもがチャットを覗くと、そこには凄まじい勢いでチャットが流れていた。
『一緒に洛陽目指しませんか?』
『初心者歓迎!! 一緒に遊びましょう!!』
『農地開拓。土地取得がメインの方はこちらです』
新入生を部活に勧誘するかの様な チャットの多さに若干気圧されながらも、1つのチャットに興味を引かれた。
『傭兵募集』
そのチャットはたった4文字、何の飾り気も無かったが、何故か興味を引く物があった。
早速そのチャット主にメールを送った。
【初心者なのですが、参加しても良いですか?】
メールを送ってすぐの返事が届いた。
【大丈夫! 問題ない】
そんな装備で大丈夫か?っと追加で聞きたくなる様な返事だったが、そこはグッと堪えて招待された同盟に加入した。
加入したはいいが、同時に不安も覚えた。何故なら、他の同盟は始まったばかりにも関わらず40人、50人と、多くの人が集まっているにも関わらず 、この同盟はたったの5人だった。
「でもまぁー少ない方が良いか。人が多すぎたらチャットに参加しにくいし」
軽く皆に自己紹介した後、その日はログアウトした。
数日後、同盟勧誘チャットが落ち着いて、ほとんどのプレイヤーが何処かの同盟に加入していた。
うんもが加入している傭兵同盟も最終的には20人ほど集まりそこで落ち着いた。
20人と言っても他の同盟と比べると5倍、6倍と人数で差がついていた。それに比べるとこの同盟は弱小同盟と言えるかもしれない。
しかし少数同盟ならではなのか、全員がチャットに参加してくだらない話で盛り上がっていた。
「土地5行ったらボコられた(´・ω・`)」
「何してるんですか! お手本見せてあげる。ちょっと待ってて」
「・・・・・・(>︿<。)」
「「「あっ・・・・・・(笑)」」」
「取れましたよ!!」
「うんもさんそれ土地3・・・」
「(´>ω∂`)」
くだらない話を全員でする事で団結力が身についた。また、この人は何時にINしてるなどの情報も、少人数だから覚えることも出来た。
そんなこんなを1ヶ月ぐらい続けた所で事件が起きた。
「遂に戦争が始まったので全員同盟抜けてください」
盟主の唐突な発言にうんもは焦った。
「えっ!? この同盟潰すんですか?」
「潰さないですよー。 戦争が終わったらまたこの同盟に集合します。同盟名通り傭兵なので戦争が始まって要請があったら手伝いに行くのです。各同盟盟主には戦争でお手伝いが必要ならば声をかけて下さいと、言っていたのです」
「そうですか・・・皆でチャットするの楽しかったので・・・」
「それなら大丈夫ですよ! 最初に官員職とチャットルームを約束しているので。別同盟で今まで通りって感じです。この同盟の団結力を見せつけてやりましょう」
盟主の対応に安心した名員達はすぐに同盟を抜け、戦争を開始する同盟に加入した。
戦争時の兵力はほぼ互角、均衡状態が続き両同盟はピリピリしていたが、傭兵同盟は非常に呑気な物だった。
「指定座標にて第1陣形鶴翼の陣を展開!!」
「「「了解!!」」」
訳のわからない盟主の発言にうんもは混乱した。
「第1陣形って何?? そんなの習ってないけど(笑)」
「私も知らない(笑)」
「えっ!? でも今了解って・・・」
「なんかその場の雰囲気でw」
そんな会話を名員としていると、盟主から解説が来た。
「うんもさん。雰囲気を楽しむんですよo(^▽^)o 自分もあんまり詳しく無いですが、鶴の翼を広げた形に要塞を建築しよう」
盟主の解説で迅速に要塞を建築したが、某ヒーローアニメの様に完成するまで敵が待ってくれる訳も無く、残念な結果に終わった。
「あっ・・・ごめん(笑) 翼折られた・・・」
敵兵によって左翼が折られ、翼は【√】の様に異物な形になった。
「「「笑」」」
「√作ってどうしたんですか? 何かの計算するの?笑」
そんなしょうもない事で楽しむうんもなのであった。
因みに戦争は自軍が白旗をあげて負けてしまった。
戦争が終わると速やかに同盟を抜け、再び傭兵同盟に集結して反省会を行った。
「次の戦争では翼を完成させよう」
「そうですね! ちょっと前線に近すぎましたね」
「確かに」
「次は最終防衛ライン付近に陣形を敷きましょう」
「「「おう!!」」」
こうして反省会とは? っと思う内容で今回の戦争は幕を閉じた。
しかし数週間もしない内に、再び別同盟から招集がかかった。それも序列1位、2位の2同盟からだ・・・
「寄りにもよって対立同盟両方から招集がかかるとは・・・」
うんもは不安に思っていたが、盟主は意外とあっさりしていた。
「この同盟はどの同盟にも平等で行くつもりなので、今回は半分づつに別れましょう」
あくまで平等、どっちの肩を持つ訳でもなく、兵力を平等に分けて各同盟に参加した。
自分の同盟員と戦う事などそうそう無いので、これはこれで良い経験になったのかもしれない。
戦争は1位同盟が洛陽を取った事により、終わりを迎えた。
決算日が近づいてきた頃、この傭兵同盟のいい所が浮き彫りになってきた。
「いよいよこのシーズンも終わりですね。洛陽取得同盟から報酬受け取りのためにこっちの同盟に入りませんか? っと、お誘いがあったので行きましょう!!」
「えっ・・・楽しんでただけなのに報酬貰っていいんですかね?」
「向かうが言って来てるので問題ないでしょ」
「もしかしてどの同盟が1位を取っても僕達が報酬を受け取れるために中立を・・・・・・」
「深い事は考えずに行きましょう!! 来シーズンも一緒に遊びましょう」
こうして中立を常に守ってきた傭兵同盟は、何の苦労もすること無く、征服報酬を受け取るのであった。
今回この男、うんもが選んだ道でこのドラマが生まれたが、1つ道を変えるだけで、また違ったドラマが生まれたかもしれない。
果たして、来シーズンではどんなドラマを作っていくのか、それはあなた自信が決めること。